歌舞伎座 圑菊祭五月大歌舞伎

圑菊祭五月大歌舞伎を鑑賞して来ました。

歌舞伎18番と言われる勧進帳はいつ見ても感動的です。

源義経と武蔵坊弁慶の主従の強さを描いた演目です。

勧進帳とは寺院の修理や建立のための寄付を集める書面で山伏が集めることも多かったようです。

源頼朝から追われて一行は関所を超えるのに山伏に変装し、偽の勧進帳を弁慶が読み上げます。

然しながらその後疑われてしまいます。何とかしてこの関所を通らなければならない。

主君である義経を弁慶が杖で打つ。この時代に主君を杖で突くなどは考えられないことです。

その姿に関所の関守である武士、富樫左衛門はそうしてでも主君を助けまいとする弁慶の姿に心を打たれ、関所を通る許可を与えるのです。富樫左衛門は義経であることを見抜いていたのです。

このことが公になれば自身の切腹を免れなかったことがわかっているのに、関所を通す富樫左衛門の人情も光る作品です。

武蔵坊弁慶を演じたのは市川圑十郎、富樫左衛門を演じたのは尾上菊五郎、源義経を演じたのは中村梅玉です。

人情とは忘れ去られようとしている日本の言葉かもしれません。そんなことを思いながら歌舞伎座を後にしました。


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